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電気による新しい時代が始まった

明かりにおいても、電気による新しい時代が始まっていた。そもそも、電気エネルギーを利用した科学や技術の研究が行なわれるためには、電気を手軽に利用できる実験環境が不可欠である。現在のように発電機はなかったし、もちろん、電気配線がなされているわけでもない。唯一の電源はボルタの電池であった。ボルタの電池以外に、継続して電流を流しつづけられる手段はなかったのである。ボルタの電池は今日では用いられていないが、ボルタの電池がなかったら、その後の電磁気学や電気化学の発展もなかったであろう。その意味では、電気エネルギーで成り立っている現代文明、いや将来の文明も、ボルタの電池の発明がすべての発端になっていると言っても過言ではない。「白熱電球」も、「白色蛍光灯」も、そして「白色発光ダイオード」も、ボルタの電池の発明がなかったら、その実現はずっと遅れていたはずである。ボルタの電池はその名のとおり、イタリアの物理学者アレッサンドローボルタの発明になるものである。彼は友人であった解剖学者ルイジーガルヅアーニの有名な「カエルの実験」(カエルの神経に2種の異なる金属を当てると、電気刺激を与えたときと同じように痙挙が起こることを示した)に示唆を受け、異種の金属を接触させると電気が発生するメカニズムを研究していた。1799年に、銅板と亜鉛板の間に湿った布を挟んだものを何十組も重ねて、有名な「ボルタの電堆」をつくり、さらに銅と亜鉛を希硫酸溶液に浸した電池を発明して、1800年にそれを英国の王立協会に報告した。当時、それまで小国が乱立していたイタリアを、ナポレオンが統一したばかりであった。そのようなこともあって1801年、ボルタはアカデミー・フランセーズで、ナポレオンを前にして電気実験を行なっている。ナポレオンは彼に金メダルと勲章を贈り、のちに伯爵の称号も与えられている。現在、ボルタの名前は電圧の単位、ボルト(V)として残されている。