アーカイブ

黒澤映画で大活躍した日本のカバンの一流店とは

バッグのブランドというと、フランスやイタリアといったヨーロッパばかり思い浮かべがちだが、日本にもちゃんとバッグのブランドがある。「ポーター」「ラッゲージレーベル」で知られる「吉田」である。「吉田」は、日本でも有数のカバン職人として知られた吉田吉蔵さんが、1935年に設立した会社。ヨーロッパの有名ブランドがつくった衣装や靴が、数々のハリウッド映画に登場しているのと同じように、吉田吉蔵さんのカバンにも、映画にまつわる伝説的なエピソードがある。黒澤明監督の有名な映画『天国と地獄』のクライマックスで、身代金の入ったカバンを列車から放り投げるシーンがあるのだが、そこで使われたのは、そのシーンのために吉田吉蔵さんがつくったカバンだった。また、皇后美智子さまが婚約前に使っていた白いカバンも、吉蔵さんの作品だったという。とはいっても、吉蔵さん一代限りでは、「吉田」は世界で認められるブランドにまで発展しなかったことだろう。吉蔵さんは、息子さんたちをカバンの勉強のために海外にいかせた。兄の滋さんがイタリアに、弟の克幸さんがドイツにいって勉強し、帰国して、「吉田」のカバンを世界で認められるブランドにまでしたのである。