正規雇用の保護規制のうち最も大きいものは、解雇に関わる規制である。この点で、正規雇用と非正規雇用の間には大きな格差が存在している。後者は有期雇用であるから、契約期限がくれば、当然雇い主は解雇できる。有期の契約者については解雇予告の期間は三〇日と決められている。これに対して、正規雇用(いわゆる正社員)の場合、企業経営者の都合で解雇するのは困難である。終身雇用が前提になっており、不況で企業経営状況が悪くてもよほどのことがない限り、解雇がないのが日本の制度である。
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つまり、日本では終身雇用の名のもとに、正規雇用者が保護されていることになる。これは戦後、日本で終身雇用が定着するなかで形成されてきたが、かなり強い性格の制度である。〇四年一月に労働基準法の改正が行われ、従来、裁判所の判例によって示されていた正規雇用についての解雇条件が法律に明文化された。折しも、小泉純一郎首相による日本経済の構造改革が進展している最中でもあり、正塑雇用の保護規制の緩和を期待する向きもあった。事実、小泉首相も、労働基準法の改正によって解雇条件が緩和されれば、労働市場の流動化が促進されることになり、構造改革の進展も期待される、と前向きの発言をしていた。しかし現実には、明文化といっても、裁判所による判例をそのまま法律に書き込むだけという結果に終わってしまった。したがって、解雇条件の規制は、そのまま温存されることになった。