人格障害の患者さんの多くは、入院当初の慣れない時期、周囲に過剰になじもうとする過剰適応の状態になります。これもまた、人との距離がとれないが故の症状なのですが、いずれその無理に疲れ、爆発するのが、お決まりのパターンなのです。ましてや、慣れない内科入院という環境では、この時期が本人の限界を超えて、長く続いたことでしょう。精神科に移るや、その無理した分まで上乗せして大暴れしたことは、想像に難くありません。また、内科にいる間は、治療対象が身体的な部分中心だったため、根本的な心の問題には、医者も本人も立ち入る余裕がありませんでした。だから彼女も、表面的な態度を取り繕うことで、日が送れていたのでしょう。ところが身体症状が落ち着き、精神科に移れば、いやでも自分のうちにある根本的な問題と向き合わなくてはなりません。このように、自分の問題と直面することで、彼女の中にある闇の部分が解き放たれたという見方もできるのです。内科の看護師だった時は、ここまで深く考えられず、精神科に入ったことがショックだったのだろうか、環境になじめないのだろうかと、あさはかな分析しかできませんでした。患者さんには実にいろいろな面があり、時には波風を恐れずかかわらなければならないことを知るのは、精神科に移って、ある程度たってからのことです。